2001Yのプロフォール画像

2001Y@Y20010920T

Techart LM‑EA9 など、Leica Mレンズを Sony E ボディでAF化するアダプターは市販され、実際にユーザーも多い。同じLeica同士 —— Mレンズを Leica L(SL/TL/L‑Mount Alliance ボディ)に付けた場合のAFアダプターがいまだに存在しないのはなぜか?
そこで、現時点で入手できた情報をまとめ、自分用メモとして整理した。


1. フランジバック差(7.8 mm)が生む物理的制約

マウントフランジバック差分
Leica M27.8 mm
Leica L20.0 mm7.8 mm
Sony E18.0 mm9.8 mm
  • Techart LM‑EA9(M→E)は 約15 mm厚。既に E の差分 9.8 mm を超えており、本体がレンズ側にもカメラ側にも張り出している。
  • M→L では差分が 7.8 mm しかないため、同じ構造を単純縮小するのは難しい。

2. レンズ重量と駆動力のギャップ

Leica Mレンズの質量例

レンズ重量
Summilux‑M 35 mm f/1.4≈ 320 g
Summilux‑M 50 mm f/1.4 (2023)≈ 335 g
Noctilux‑M 50 mm f/0.95≈ 700 g
Apo‑Summicron‑M 90 mm f/1.5≈ 1,010 g

スマホ用 VCM/MEMS の対応質量

想定質量厚さ
Alps ATMC1Z90.08 g2.8 mm
MEMS AF Module0.25 g5.9 mm

試算: 300 g レンズを保持する最低力 ≈ 3 N。ATMC1Z9 が出せる力は 0.007 N 程度 → 約400倍不足


3. 耐久・熱設計

  • VCM/MEMS はレンズ質量 <1 g 想定で 10⁵〜10⁶ サイクル。質量を数百倍にすると寿命データが消える。
  • 必要電流を単純比例すると十〜百アンペア。7.8 mm 内での放熱・シールドは現実味がない。

4. ボディ側AF方式との相性

ボディAF方式コメント
Leica SL/SL2Contrast + DFDMレンズ用プロファイル非公開 → DFD利用不可
Sigma fp/fp LPDAF + Contrastボディ側は対応可。ただしアダプター側駆動力問題は解決しない

5. 現時点の自分の結論)

  • 物理空間と駆動力の両面で 未解決課題が大きい
  • スマホ向け超薄型アクチュエータ技術を流用しても、重量・耐久・放熱がボトルネック。
  • ボディ側 AF 方式(SL の DFD)も追加ハードル。

調べた限りでは「実用的・量産レベルでは無理そう」。 超小型高トルクモーターや熱対策のブレイクスルーが出れば状況が変わるかもしれないが、当面は「パッシブアダプター+マニュアルフォーカス」が現実的な選択肢。